サザンカの枝にとまるヒヨドリ

ヒヨドリ
Japanese brown-eared bulbul

2022/08
ヴィラモの仕事場のガラス戸の外にテラスがあって、そこにアマガエルやヤモリが棲みついており、野鳥もやってきます。野鳥がヴィラモの様子を見ていることがあります。

その上とむこうに電線があって、それらにつかまって見ていることもあります。様々な鳥がやってきて、電線でさえずります。自分に聞かせてくれている、とヴィラモは言います・・・

2022年夏、ヒヨドリの夫婦が電線にとまってヴィラモを見ていました。ヒヨドリは警戒心が強く、人の近くに来ない鳥なので、ヒヨドリの写真は一枚もありません。バードウォッチング用の望遠レンズを持っていないので、近くに来た鳥しか撮りません。

サザンカの枝にとまるヒヨドリ

仕事場の窓のすぐ側のサザンカの枝にとまるヒヨドリ(トップの写真の拡大)。窓から撮りました。至近距離です。この数日まえに、ヴィラモはこの枝に巣があるのを発見しました。巣のなかをのぞいたりしたかったんですが、ヒヨドリの親を刺激してはいけないと考えて、近寄らないようにしました。

サザンカの枝にとまるヒヨドリ

最初はヒナの姿はなく、親鳥が巣のなかで過ごす時間が長かった。卵を温めていたのでしょう。食事とか水分補給のために巣を離れても、じきに戻ってきました。戻ってきたときに、ちょっとこの枝にとまります。

サザンカの枝にとまるヒヨドリ

私たちが窓から巣の様子を見ているときに、親鳥と目が合います。親鳥も注意深くこちらの様子を観察します。私たちのことを識別し、危険な人間でないことは理解しているようでした。

ヒヨドリのヒナ

そうこうするうち、ヒナが生まれたのが解りました。ヒナに食べ物を運ぶために親鳥は忙しくなりました。これはヒナが口をあけてエサを催促する様子。

ヒヨドリが巣を作ったサザンカの樹

矢印がサザンカ。この茂みにじょうずに巣を作っています。葉に隠れて、誰にも気づかれない。写真は5月21日に撮ったもの。ツル薔薇のニュードーンが咲いています。

ヒヨドリの巣

これはヒナが巣立ったあとに撮影。サザンカの枝に集めてきた枯れ枝や枯れたシダの葉で簡単に作っています。ヒヨドリは中型の野鳥なんですが、それにしてはやや小さくて簡易だと思いました。ツバメの巣なんかと比較するとです。

ヒヨドリは3~4個の卵を産み、ヒナはふ化して10日から2週間ていどで巣立つ。ツバメは3~7個の卵を産み、ふ化して巣立つまで約20日かかります。 そういうこともあって、ツバメの方が頑丈な巣を作るのでしょうか?

ヒヨドリのヒナ

さて8月15日の朝、突然けたたましい鳥の叫び声が聞こえ、「巣がヘビにやられているっ」とヴィラモが血相変えて走ってきました。 親鳥は大声で「キィーキィー」と叫び、ヒナもパニックになっていた。

近くにあった棒でヘビと戦いました。毒蛇のヤマカガシでした。 毒を持ってはいるけれど大人しく臆病なヘビで、人の気配を感じたらすぐに逃げていくので、これまでヤマカガシと戦ったことは一度もなかった。

その朝はヒナの一羽をくわえて逃げようとしないので棒で叩きました。 ヤマカガシは逃げたけれど、ヒナはすでに死んでいました。

そのとき別のヒナが一羽、巣から飛び出て地面に落ちました。巣に戻してもすぐに飛び降りるので、ヴィラモが家のなかに運んで落ちつかせました。

ヴィラモは子供のころから小鳥が大好きで、文鳥やインコやカナリアを飼ってきたので幼鳥の扱い方を知っています。トマトやブドウをピンセットで与えて、ようやく落ち着いたところを記念撮影しました(上の写真)。

このあと巣に戻すと、親鳥がエサを与えました。 これでとりあえず一件落着と思ったんですが、この子は夕方、巣から飛びたとうとしてまた地面に落下。家のなかで保護することにしました。

ヒヨドリの親は勇気をふりしぼって、保護したヒナにイモムシ、青虫、バッタ、赤や白の小さな果実を運びました

ヒヨドリの母

16日夕方、巣のなかでおとなしくしていた残りのヒナ一羽も、勝手に飛びたって近くの樹に移動。その子も室内に保護しました。

17日朝、親鳥たちは二羽の赤ちゃんが元気でいる様子をみて安心するも、子供たちを早く解放してほしいと妻に懇願。 もう少し成長するまで室内で保護しないと危険だというのが妻の考えだったんですが、お母さん鳥の願いと、早く飛びたちたいヒナの様子を見て解放することにしました。

写真はヒナを引き取りにきたヒヨドリのお母さん。あたまの毛が逆立つ必死の表情。下はその拡大。

ヒヨドリの母

ヒヨドリの母

ヒヨドリの父

ヒヨドリのお父さんです。10m以上離れた電線のうえで「キィーキィー」大声出しているだけで、ほとんど役に立ちません。

ヒヨドリの赤ちゃん

自由になったヒナの一羽。たくさんは飛べない。けれどそれなりにうまく身を隠している。

ヒヨドリの母と子

薔薇の枝に移動していると、母鳥がエサを持ってきました。生まれたばかりの赤ちゃんなのに、こんなに大きなバッタを丸のみ。

ヒヨドリの母と子

ヒヨドリの母と子

こちらはカエデの枝に潜んだヒナ。この子のケアもする。

今回、窓のそばに巣ができたことで、短い期間ですが一緒に暮らすことができ、鳥の親たちの苦労がわかりました。

ヒヨドリは農作物を食い荒らすことがあるので「害鳥」とされていて、狩猟免許があるひとは撃ち殺してもよいことになっています。 エンジェルファームの環境は自然が豊かなので、家庭菜園を荒らされたことはないんですが。

それと今回、ヤマカガシにヒナが襲われたように、多種多様な天敵が生息しているので、ヒヨドリが増えすぎたりはできません。 今回のヒナも、生きのびることができるかどうかはわかりません。

生物多様性等、自然の生態系を考慮した緑の都市設計をしていけば、ヒヨドリ、ムクドリ、カラス等とも共生できると思います。