シマハナアブ
Eristalis cerealis
2025/05/07 オルレアの花で食事するシマハナアブ。
初めはハナアブのこと、好きじゃなかった。特に嫌いということもないけれど、撮りたいとも思わなかった。ミツバチへの興味から始まって、他のポリネーター(花粉媒介生物)たちのことも観察するようになったという経緯があります。
だから最初はミツバチの写真をたくさん撮りました。それからマルハナバチを撮るようになり、単独性ハナバチも情熱をもって撮るようになった。が、ハナアブの写真はあまり増えなかった。たぶんハエのイメージを引きずっていたのだと思います。
庭に勝手生えのオルレアが増えていくと、そこに多様なハナアブがやって来るようになり、毎日彼らと会うようになり、だんだん家族のように感じるようになってきたんです。だから「家族写真」だと思って撮っています。

↑偶然、シマハナアブの右の羽の下に小さな昆虫が写っていました。カメラを向けているときには気づかなかった。Photoshopで拡大してみて小さな子がいることがわかりました。
シマハナアブだって小さい。1cmから1cm3mmほどしかない。が、シマハナアブの羽の下に写っている小さな子にとってみたら、シマハナアブが巨大な怪獣に見えるでしょう。
こんな小さな子のことなんか誰も考えず、話題にもしないと思います。まあ見ることはないと思います。というか見えない。特に私のような近眼で老眼であるような人間は。
でもオルレアの花で食事している、ということはこの子もポリネーターかも知れません。 ↓拡大してみました。

画面上半分がシマハナアブの羽の一部。その下に謎の極小昆虫。

↑中足のツメの下に写っています。↓拡大。

↑画面左上にシマハナアブの足のツメが見えます。私には何の昆虫かわかりませんが、こんな小さな子がひとりで、けなげに食事してちゃんと生きているということに、存在の不思議というか神秘を感じます。
オルレアの花は、花粉を運んでくれる生物をひきつけるために、蜜を分泌する・・・オルレアは蜜を体内で生産する高度なしくみを持っているということです。
そんなことが自然に行われている。
オルレアは人間が感じる香りではないけれど、こういう昆虫たちが感じる香りを放って彼らを引き寄せているのでしょう。その香りを生産するのだって大変だと思います。
私はよく思うんですが、ウメ、スイセン、フジ、ユリ、柑橘類の花は、驚くほどいい香りがします。それは人間を魅惑するための香りではなく、昆虫たちのために調合した最高に高度な香水です。
昆虫を馬鹿にしてはいけない、植物たちはあれほどの香水を用意しなくてはならないのだから、と私はよく思います。オルレアには動物のような脳や内臓のような器官はないけれど、蜜や香りを生産できる。その生命の不思議なしくみ・・・

左、シマハナアブ。ピントが合わずぼけています。が、右端の小さなハナアブらしき昆虫にピントが合っています。この小さな子を撮ろうと思ったのではありません。このとき右の小さな子に気づいていなかった。偶然写っていました。
この小さな子が誰なのか私にはわかりませんが、花に集まるポリネーターの一員ではあると思います。こんな子たちが立派に活躍している、自然界の奥深さを想います。

シマハナアブの女の子のお尻。以上、みんな同じ子を撮っています。下の写真もその子です。腹部の白い三本の横ライン(シマ模様)と、その上の黄土色の三角のフォルムが特徴。昆虫学では「三角班」(さんかくはん)というらしい。

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